【宅建】売主担保責任 〜他人のものでも得ることは可能!?〜
■他人物売買 売買の目的物である土地や建物の全部が、実は他人の物であった場合です。 まず前提として、他人の物を売ってしまう契約も有効だということを覚えておいてください。 そして契約を締結したにもかかわらず、売主が目的物を取得して買主に移転できない 場合は、善意・悪意を問わず、買主は契約を解除することができます。 さらに善意の買主に限り、損害賠償の請求もできます。 しかしここで注意していただきたいのは、悪意の買主でも、売主に移転不能について責任が あるときは、売主の担保責任を追求するのではなく、債務不履行の規定により損害賠償請求 ができるということです。 絶対に損害賠償請求ができないというわけではありません。 ひっかけ問題で出題可能性あり、です。 除斥期間(=権利を行使できる期間) →制限なし。善意・悪意を問わず、買主はいつでも売主の責任を追及できます。 ■一部他人物売買 売買の目的物の一部が、実は他人の物であった場合です。 この場合、善意・悪意を問わず、買主は代金の減額請求ができます。さらに善意であれば、 目的不達成の場合(=残った部分だけでは買わなかったであろう場合)には、契約の解除も できます。また善意であれば、損害賠償請求も可能です。 除斥期間 善意の買主→知ったときから1年 悪意の買主→契約のときから1年 ■数量指示売買 数量を指示して売買した目的物の数量が、不足していた場合です。 善意の買主は、代金の減額請求ができます。さらに目的不達成の場合(=数量が足りな いことがわかっていれば買わなかったであろう場合)には、契約の解除もできます。 そして損害賠償請求も可能です。 悪意の買主は何もできません。 除斥期間 善意の買主→知ったときから1年 悪意の買主→関係なし ■用益的権利による制限 売買の目的物に、地上権等がついていた場合です。 善意の買主は、これらの権利があると契約の目的が達成できない場合、 契約を解除することができます。さらに損害賠償の請求もできます。 悪意の買主は何もできません。 また参考までに、用益権とは、地上権、永小作権、地役権、留置権、質権、登記した賃借権 をいいます。 除斥期間 善意の買主→知ったときから1年 悪意の買主→関係なし ■担保的権利による制限 抵当権が設定されているものを売った場合です。 善意・悪意を問わず、抵当権の実行により所有権を失った買主は、 契約の解除および損害賠償の請求ができます。 この担保責任が認められるには、実際に担保権が実行され、買主が所有権を失ったこと が必要ですので注意してください。 除斥期間 →制限なし。善意・悪意を問わず、買主はいつでも売主の責任を追及できます。 ■瑕疵担保責任 売買の目的物に隠れた瑕疵(キズ)があった場合です。 善意無過失の買主は、目的物の瑕疵により契約の目的が達成できない場合、 契約を解除することができます。さらに損害賠償の請求もできます。 瑕疵担保責任に限り、買主に善意+無過失も要求されますので注意してください。 除斥期間 善意の買主→知ったときから1年 悪意の買主→関係なし また、瑕疵担保責任につきましては、新築住宅の特例があります。 売買の目的物が新築住宅である場合は、「住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵」 があったときに特例として、責任の内容に解除、損害賠償+「瑕疵修補」を要求することも認め られます。そして、この場合の責任追及期間は、買主に当該住宅を引き渡してから10年間と なります。この期間は特約で20年まで伸長できますが、買主に不利な特約は無効となると いうことに注意してください。 最後に、売買契約の際に「売主は担保責任を負わない」という特約を結んでおくことも有効 だということも覚えておいてください。 しかし、その特約があった場合でも、売主が目的物に問題があることを契約前から知っていて、 それを買主に告げなかったときは、売主は責任を負うということに注意です。 |
< 売主の担保責任早分かり一覧表 >
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