【宅建】保証債務について

債務者が債務を履行しない場合に、他の者(保証人)がその債務を履行する責任を負うことを
保証といい、保証人の負う債務のことを保証債務といいます。


Aさんがマイホームを購入するため、Bさんに1,000万円の借金を申し込みました。
Bさんは、Aさんがきちんとお金を返してくれるか心配です。

そこでBさんはどうするか?

Aさんが土地などの財産を持っていれば、その土地を抵当にとれば話は早いです。
しかしAさんにそんな財産がない場合・・・そこで保証の登場です。
当事者以外の第三者Cさんに、Aさんの保証をしてもらうのです。

Aさんが債務を履行しない(お金を返さない)場合に、CさんがAさんの代わりに債務を履行する
義務を負います。

この場合のAさんを「
主たる債務者」、Cさんを「保証人」と呼びます。

では、重要事項を順番に見ていきます。



■保証債務の成立

保証債務は、債権者と保証人との間の保証契約によって成立します。

つまり保証契約の当事者は、債権者と保証人ですので注意してください。

主たる債務者は関係ありません。
主たる債務者の意思に反しても、保証契約を結ぶことができます

また、法改正により保証契約は
書面で行うことになりましたのでご注意ください。



■保証人となるための資格

保証人となる資格に制限はありません。
原則として誰でも保証人となることができます。

しかし例外があります(注:
債権者が自ら保証人を指名した場合は適用されません)。

主たる債務者が法律上、または契約で「保証人を立てる義務がある場合」は、

1.保証人は、
行為能力者でなければならない
2.保証人は、
弁済の資力がなければならない

この二つが要求されます。

保証人を立てる義務がある場合とは、委任契約において、受任者が費用等の償還請求権を行使す
るときなどがありますが、細かいので覚える必要はないでしょう。「保証人を立てる義務がある場合」
に上記の条件が必要ということだけ覚えておいてください。


保証契約締結後に1の条件が欠けた場合(後見開始など)でも、保証契約に影響はありません。
保証契約締結時に行為能力者であればよいのです。

これに対し、保証契約締結後に2の条件が欠けた場合、債権者は、
保証人を弁済の資力がある者に代えてください」と主たる債務者に請求することができます。
これは大事ですので覚えておいてください。



■保証債務の性質

1.附従性

保証債務は、あくまでも主たる債務を担保することを目的として存在するため、
主たる債務に付き従う性質を有します。

主たる債務が不成立・無効であれば保証債務も成立せず、主たる債務が有効に成立した後でも、
主たる債務が取り消されたときなどは、保証債務もそれに伴い消滅します。

このように、主たる債務と運命を共にする保証債務の性質を「附従性」といいます。

保証債務で最も宅建試験に出題される箇所かもしれません。

以下、附従性の重要点をまとめました。


・主たる債務が成立していなければ、
保証債務も成立しない

・主たる債務が消滅すると、それに伴って
保証債務も消滅する

・主たる債務の内容が軽くなると、それに伴って
保証債務の内容も軽くなる

・主たる債務の内容が重くなっても、
保証債務の内容は重くならない

・保証債務の内容は、主たる債務の内容よりも重いものであってはならない!
 (重い場合は、
主たる債務の内容と同一の限度に縮減される

・主たる債務の消滅時効が中断されると、
保証債務の消滅時効も遅れる

・主たる債務が時効で消滅すると、保証人はこれを援用して保証債務の
消滅を主張する
 ことができる!

・主たる債務者が債権者に対し債権を有する場合、保証人はこの債権によって
 
相殺を主張することができる!