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【宅建】代理制度について

代理とは、「他人の行為」によって、自分が効果を受ける制度をいいます。

その最も大きな特徴は、普通は法律行為をする者とその効果を受ける者とが同一で
あるのに対し、これが分かれているという点です。

よって、3名の人物が登場します。

他人(=代理人)の行為によって効果を受ける「本人」、
契約の「相手方」、
本人の代わりに意思表示をなす、または受ける「代理人」です。

代理の問題を解く際には、必ずこの3名を使った三角形の図を頭に描き(紙に書き)、
どの部分の関係が問題となっているのかを把握するようにしてください。

分かりやすいように、前もってご自分に合った位置関係を固定して練習するように
しておいたほうがいいでしょう。

ちなみに私は、上に本人、左下に代理人、右下に相手方という三角形を作っています。


では、代理の要件を見ていきましょう。

代理人の行為の効果が本人に生じるためには、
代理人に代理権があり
顕名をして
意思表示(代理行為)をすることが必要です。

一つずつ解説します。



■代理権

代理には、任意代理と法定代理があります。

任意代理:本人と代理人の約束により代理権が発生
法定代理:法律によって当然に代理権が発生(本人が未成年など)

ここでは、任意代理の復任権と、代理権の消滅事由について覚えておいてください。


任意代理人の復任権
任意代理人とは本人の信頼に基づくものであり、いつでも辞任できるため、
原則として復任権はありません。
例外:
本人の許諾あるとき止むを得ない事由あるとき
(法定代理人:原則として復任権を有する)

注)
復代理人とは代理人の代理人ではなく、本人の代理人となります


任意代理人の代理権消滅事由
本人の
死亡破産・相互解除
代理人の
死亡破産後見開始の審判・相互解除


任意代理権の消滅事由は上記の通りとなります。

代理の効果は本人に帰属し、代理人自身は責任を負うことはありません。
本人が、あえて未成年者に代理人になってもらった場合、
その未成年者が下手な取引をして損害を被っても自業自得となります。
代理人は、未成年者でも成年被後見人でも被保佐人でも被補助人でも構いません。

つまり本人は、代理人が制限行為能力者であることを理由に、
契約を取り消すことはできません。
能力者が制限行為能力者となってしまった場合(後見開始)と区別してください。



■顕名(けんめい)

代理人が代理行為をする場合
「本人のためにすることを示して行う」ことを要します。
これを代理における顕名主義といいます。

「本人のためにする」とは、法律効果を本人に帰属させようとする意思を意味し、
本人に経済的利益を与えるという趣旨ではありません。

よって、代理人が本人の利益のためではなく、自分や第三者の利益のために代理行為を
しても顕名が認められ、客観的に代理権の範囲内の行為であれば、その行為は代理行為
として有効に成立し、当該行為の効果が本人に帰属してしまいます。

これでは代理人の権限濫用が行われると思いませんか?

そうです。
その通りです。

よって、代理人のこのような背信的意図を相手方が知り、または注意すれば知ることが
できた場合には、本人に効果が帰属しません。

これは覚えておいてください。


では、代理人が顕名をしない場合はどうなるのでしょうか?
これは、表意者(代理人)が、「自己のためになしたもの」とみなされます。

たとえば、BがAのためにCの土地を購入するとします。
自分がAの代理人であることを示さずに(CはBがAのためにすることを知らず、注意を
払っても知りえなかった)Cと契約した場合、当該売買契約はBC間で成立し、Aはそれ
によって影響を受けません。

では、その土地が欲しいAはどうすればいいのか?

これは次々ペ-ジ、表見代理・無権代理で解説いたします。



■代理行為

代理権があり、顕名をすれば、その代理行為の効果は本人に帰属します。

ここでの論点は、その代理行為が、
きちんとした代理権を伴ってなされたかどうかです。

大半は無権代理に譲りますが、ここで代理行為の瑕疵についてだけ触れておきます。

契約の際に意思の欠缺(心裡留保、虚偽表示、錯誤)または詐欺、強迫があったか
どうかは、
「代理人」を基準に決められます。

そして、代理人が詐欺などにより契約した場合に
取消権を有するのは「本人」です。

代理の効果は本人に帰属しますから当たり前ですね。

これは超重要ですので覚えておいてください。

また、この例外も重要です。

特定の法律行為をなすことを委託された代理人が、本人の指図に従いその行為をなした
場合、本人が知っていたか、または過失により知らなかった事情については、たとえ代
理人がそれを知らなくても、本人はその不知を主張できない。

たとえば、Aの代理人Bが、本人Aの指定したC所有の家屋を買い受けた場合、
Aがその家屋に瑕疵があることを知っていたとすれば、たとえ代理人Bが瑕疵の存在を
知らなかったとしても、AはCに対して瑕疵担保責任を問うことはできません。

瑕疵担保責任とは、売買契約後に隠れたる瑕疵があった場合に、
善意なら損害賠償を請求できるなどの権利です。

 

代理人は、本人を代理して自分自身と契約をすること(自己契約)や、
契約当事者双方の代理人となって契約をすること(双方代理)ができません。

これらの契約がなされた場合、「無権代理」として無効(*)になります。
また、無権代理であっても、それがまるで正当な代理であるような外観があり、
相手方が誤信しても仕方ない場合などは、「表見代理」として有効になります。
この無権代理・表見代理はとても重要ですので、次回で詳しく解説いたします。

(*)正確には絶対的無効ではありません。無権代理で説明します。

では今回は、自己契約・双方代理の要件と、これらが有効となる場合を見ていきます。
少し細かい知識になりますが、近年の宅建試験の傾向からして、十分に出題も考えら
れますので、頭の片隅に入れておいてください。



■自己契約・双方代理の禁止


1.趣旨

事実上1人で契約することになり、正常な法律行為を望めないため



2.具体例

自己契約:買主Aと売主Bの売買契約において、BはAの代理人にもなった
双方代理:買主Aの代理人がC、売主Bの代理人もCで、CがAB間の売買契約を締結

自己契約のBは、二束三文の物をAに高額で買わせてしまう可能性があります。
双方代理のCは、AまたはBのどちらかに肩入れしてしまう可能性があります。

よって、利益保護のために、民法はこれらを原則として禁止しています。



3.例外

法律には例外があることを今までに何度も述べてきました。
よって、自己契約・双方代理も、すべて禁止というわけではありません。

では、例外を3つ挙げます。

弁済期の到来した債務の弁済
売買に基づく登記申請行為
本人の承諾がある場合

これらは、本人または当事者に不利益を及ぼすおそれがありません。
1つ目と3つ目は簡単ですね。そのままです。
2つ目は、簡単に言うと、司法書士の仕事です。
すでに決まっている契約を登記するだけなので、双方を代理することが可能です。

この3つを覚えておきましょう!



4.効力

無権代理行為となる。
しかし、追認によって有効な代理となります。

 

無権代理・表見代理」をお送りいたします。

とても重要ですので、繰り返し何度も読んでみてください。

・代理人と称して行為をした者に、実は代理権がなかった場合
・代理人が与えられた代理権の範囲を超えた行為をした場合
・以前は代理権があったが、行為時には消滅していた場合

これらは無権代理となります。

そして無権代理行為であっても、
それがまるで本当に代理権があるように見えるときは、表見代理となります。


では、試験に出そうなポイントを順番に見ていきます。


■無権代理の効果

無権代理人が結んだ契約は無効であり、原則として本人に効力は生じない!
(代理人にも効力は生じません)



■本人の追認権

本人が無権代理行為を追認すると、原則として
「契約時」に遡って有効な代理行為が
あったことになる!(遡及しない旨の特約も有効)

本人は、無権代理行為(=契約)を追認して、正当な代理によってなされた場合と
同じ効果を生じさせることができます。

追認をするのに、
無権代理人や相手方の同意は必要なく
また、
追認の相手方は、無権代理人でも契約の相手方でも構いません

ただし、無権代理人に対して追認をした場合は、
相手方が追認の事実を知らないと
相手方に対しては追認の効果を主張することができません。

以前解説した、「黙示の追認」も認められることも覚えておいてください。



■本人の追認拒絶権

追認権は「権利」であって、「義務」ではない!
無理に追認をする必要もありません。



■相手方の催告権

相手方は相当の期間を定め、本人に対して追認をするか否か確答すべき旨を催告する
ことができ、確答がなかった場合は、「追認拒絶」があったものとみなされる!

相手方は、契約が有効なのか無効なのか不安定な状態に置かれています。

そこで民法は、相手方に「催告権」と「取消権」を与えています。

この催告権は、
契約当時に、その契約が無権代理であることを知っていた場合にも
認められる
ということも覚えておいてください。



■相手方の取消権

相手方は、当該契約を取り消すことができる!

これには重要な要件が2つあります。

契約時に無権代理であることを知らなかった(過失の有無は問わない)
本人がまだ追認をしていない

この2つの要件を満たせば、相手方は契約を取り消すことができます。



■無権代理人と相手方の間の効果

相手方が
「善意無過失」ならば、無権代理人に対して、契約の履行または損害賠償請求
をすることができる!

履行か損害賠償かは、相手方の選択によります。
ただし、無権代理人が制限能力者である場合は、これらの請求はできません。



■表見代理の効果

代理権授与の表示による表見代理
本人が契約の相手方に対して、ある者に代理権を与えたと表示した
実際には代理権を与えていないのに、口頭や書面等でウソを言った場合です。

権限踰越による表見代理
基本権限はあるが、それが代理権限の範囲を逸脱してなされた
賃貸契約の代理を頼んだのに、それを売却してしまった場合等です。

権限消滅後の表見代理
代理権が消滅して、もはや代理人でない者が代理行為をなした
かつては代理権が存在し、かつて有した代理権の範囲内で代理行為を行った場合です。

これらの表見代理が行われた場合、「善意無過失」の相手方は、

・表見代理を主張して本人の責任を問う(催告し契約を履行させる)!
・無権代理として無権代理人の責任を問う!
・無権代理行為として取り消して、契約を白紙に戻す!

という3つの方法のうち1つを自由に選択して主張することができます。



■本人の地位と無権代理人の地位が同一人に帰した場合

本人と無権代理人が親子だった場合などのお話です。

[ 本人が死亡し、無権代理人が本人を相続した場合 ]
単独相続=
当然に有効となる!
共同相続=
相続人全員による追認権の行使により有効となる!

無権代理人は自業自得であり、
契約は有効となって、相手方の請求を拒むことができなくなります(追認拒絶不可)。

ただし、他にも相続人がいる場合は、他の相続人を保護するために、
当然に有効とはなりません。


[ 無権代理人が死亡し、本人が無権代理人を相続した場合 ]
当然には有効とならず、
追認を拒絶することができる!