【宅建】民法について

まず、民法が制定された理由について解説しておきます。

法律ができた大前提を知っておけば、全ての条文がとても理解しやすくなります。


民法の原則として、

「権利能力平等の原則」
「所有権絶対の原則」
「私的自治の原則」
「過失責任の原則」


があります。


これらは本来、西欧において、近代市民革命を通して成立した原則です。

西欧ではフランス革命等によって封建社会が崩壊しました。


日本でも士農工商制度などにより封建秩序が存在していましたが、
それまで多くの人々は自分の意思によってではなく、
封建的な制度・権力の下で生活をするしかありませんでした。


これらの身分的階層秩序や、封建的土地支配を廃止する目的で、市民革命が起こります。
フランス革命の「自由・平等・博愛」という言葉は有名ですね。


そしてこの革命により、
全ての個人は自由平等に活動できるようになり、
封建的拘束を受けない自由な所有権が承認され、
個人の意思により生活関係が形成されるようになりました。

これが民法の土台、大前提となっています。



「権利能力平等の原則」

全ての人々は、職業や年齢等により差別されず、
平等に権利・義務の主体となることができます。
民法1条の3に「私権の享有は出生に始まる」とあります。
そうです、生まれさえすればよいのです。
この原則により、自主独立の地位が保障されています。



「所有権絶対の原則」

土地等の『物』を、自由に使用・収益・処分することができます。
この原則により、人々は自らの創意・工夫により、
拘束を受けることなく物を生産し、経済を発展させることができます。



「私的自治の原則」

全ての個人は、自由な意思によらなくては権利を取得し、
義務を負わされることはありません(不法行為という例外はあります)。
この原則により、個人は自由に法律関係を築くことができ
これに国家が干渉することがなくなりました。



「過失責任の原則」

人は、故意または過失により他人に損害を与えた場合にのみ、
損害賠償責任を負うことになります。
つまり、意思がなくても過失があれば責任を負い、
過失すらなければ責任を負う必要はありません。
この原則により、自らの行為に注意さえしていれば責任を負わされることはないと、
人々の自由な行動が保障されています。



以上、民法の土台となっている基本原理です。