【宅建】連帯保証

■保証債務との共通点

・契約当事者は、債権者と連帯保証人である!

・連帯保証も保証の一種であり、
附従性、随伴性が認められる!

つまり、主たる債務者に生じた事由は、すべて連帯保証人にも効力を及ぼします。
詳しくは前回の保証債務の附従性、随伴性の説明をご覧ください。

また他に、連帯保証人となる資格についても、保証人の場合と同様です。



■保証債務との相違点

・連帯保証は補充性を有せず、
連帯保証人は催告・検索の抗弁権をもたない

これはすごく重要です。主たる債務者と連帯保証人は同列ということです。

つまり、主たる債務者が期限にお金を返さない場合、債権者はただちに連帯保証人に請求
することができ、さらに、主たる債務者の資力に関係なく連帯保証人の財産に強制執行する
ことができるというわけです。


・連帯保証人間に、分別の利益は認められない!

同一の債務に対して、保証人が数人いる場合を共同保証といいます。各保証人は債務額を
保証人の頭数で割った額についてのみ保証すればよく、これを分別の利益といいます。
しかし、連帯保証人には、この分別の利益は認められません。連帯保証人が何人いようとも、
各連帯保証人は
主たる債務全額について保証の責任を負わなくてはいけません。

つまり債権者は、連帯保証人が複数いる場合、誰に対しても主たる債務の全額を請求できる
のです。



■連帯保証人に生じた事由の効力

通常の保証の場合、保証人について生じた事由の効力は、
弁済などの
主たる債務を消滅させる行為以外は、主たる債務者に影響を及ぼしません。

しかし連帯保証人は、主たる債務者と同列で債務を保証しています。

そこで連帯保証人に次の事由が生じた場合には、主たる債務者にも影響を及ぼします。


・連帯保証人による債務の
履行(弁済・代物弁済など)
→主たる債務者の債務も消滅(通常の保証も同じ)

・債権者が、連帯保証人に対して
履行の請求をした
→主たる債務者にも時効中断、履行遅滞の効果が発生

・連帯保証人と債権者との間での
更改相殺
→更改:新しい債務を成立させて、前の債務を消滅させること

・連帯保証人と債権者との間の
混同
→弁済とみなされる


以上、「履行」「履行の請求」「更改」「相殺」「混同」という5つのキーワードを、
頭の中に叩き込んでおいてください。

これ以外の連帯保証人について生じた事由は、主たる債務者に効力を及ぼしません。


連帯債務者の一人に生じた事由が他の債務者にも影響を及ぼす場合として、上記の5つの他に、「時効」と「免除」が加わります。


知って得するとても重要な注意点です。

主たる債務者にも影響が及ぶ時効中断事由は、上記2つ目の「履行の請求」のみです。
たとえば、連帯保証人が債務の承認をしても、主債務の時効には何の影響も与えません。

しかし!連帯保証には附従性があります。

逆に主たる債務者が債務を承認した場合には、

連帯保証人にも時効中断の効果が及ぶ
のですね。

【宅建】保証債務について

債務者が債務を履行しない場合に、他の者(保証人)がその債務を履行する責任を負うことを
保証といい、保証人の負う債務のことを保証債務といいます。


Aさんがマイホームを購入するため、Bさんに1,000万円の借金を申し込みました。
Bさんは、Aさんがきちんとお金を返してくれるか心配です。

そこでBさんはどうするか?

Aさんが土地などの財産を持っていれば、その土地を抵当にとれば話は早いです。
しかしAさんにそんな財産がない場合・・・そこで保証の登場です。
当事者以外の第三者Cさんに、Aさんの保証をしてもらうのです。

Aさんが債務を履行しない(お金を返さない)場合に、CさんがAさんの代わりに債務を履行する
義務を負います。

この場合のAさんを「
主たる債務者」、Cさんを「保証人」と呼びます。

では、重要事項を順番に見ていきます。



■保証債務の成立

保証債務は、債権者と保証人との間の保証契約によって成立します。

つまり保証契約の当事者は、債権者と保証人ですので注意してください。

主たる債務者は関係ありません。
主たる債務者の意思に反しても、保証契約を結ぶことができます

また、法改正により保証契約は
書面で行うことになりましたのでご注意ください。



■保証人となるための資格

保証人となる資格に制限はありません。
原則として誰でも保証人となることができます。

しかし例外があります(注:
債権者が自ら保証人を指名した場合は適用されません)。

主たる債務者が法律上、または契約で「保証人を立てる義務がある場合」は、

1.保証人は、
行為能力者でなければならない
2.保証人は、
弁済の資力がなければならない

この二つが要求されます。

保証人を立てる義務がある場合とは、委任契約において、受任者が費用等の償還請求権を行使す
るときなどがありますが、細かいので覚える必要はないでしょう。「保証人を立てる義務がある場合」
に上記の条件が必要ということだけ覚えておいてください。


保証契約締結後に1の条件が欠けた場合(後見開始など)でも、保証契約に影響はありません。
保証契約締結時に行為能力者であればよいのです。

これに対し、保証契約締結後に2の条件が欠けた場合、債権者は、
保証人を弁済の資力がある者に代えてください」と主たる債務者に請求することができます。
これは大事ですので覚えておいてください。



■保証債務の性質

1.附従性

保証債務は、あくまでも主たる債務を担保することを目的として存在するため、
主たる債務に付き従う性質を有します。

主たる債務が不成立・無効であれば保証債務も成立せず、主たる債務が有効に成立した後でも、
主たる債務が取り消されたときなどは、保証債務もそれに伴い消滅します。

このように、主たる債務と運命を共にする保証債務の性質を「附従性」といいます。

保証債務で最も宅建試験に出題される箇所かもしれません。

以下、附従性の重要点をまとめました。


・主たる債務が成立していなければ、
保証債務も成立しない

・主たる債務が消滅すると、それに伴って
保証債務も消滅する

・主たる債務の内容が軽くなると、それに伴って
保証債務の内容も軽くなる

・主たる債務の内容が重くなっても、
保証債務の内容は重くならない

・保証債務の内容は、主たる債務の内容よりも重いものであってはならない!
 (重い場合は、
主たる債務の内容と同一の限度に縮減される

・主たる債務の消滅時効が中断されると、
保証債務の消滅時効も遅れる

・主たる債務が時効で消滅すると、保証人はこれを援用して保証債務の
消滅を主張する
 ことができる!

・主たる債務者が債権者に対し債権を有する場合、保証人はこの債権によって
 
相殺を主張することができる!

【宅建】契約解除するには

解除とは、いったん有効に成立した契約を解消させて、
その契約が初めからなかったものとする制度をいいます。

解除には「法定解除」と「約定解除」があります。

法定解除とは、前ページでお話した「債務不履行」を理由とする解除です。

約定解除とは、契約の両当事者の約束により解除できると決める場合で、
手付、買戻しがあります。

では、順番に見ていきましょう。



■債務不履行を理由とする解除(法定解除)

1.解除権発生の要件

○履行遅滞:債務者が債務を履行しない場合、
相当の期間を定めて履行を催告し
その催告期間内に履行されなかったときに解除ができる


重要おまけ

・催告と同時に解除の意思表示をしておいてもよい!
(「2週間以内に履行しなかったら解除するから」←言っておく)

・定期行為の遅滞による解除は、催告は不要である!
(6月中旬に送るよう約束した暑中見舞いを、8月に履行されても意味がない)

・催告を不要とする特約も有効である!
(よく読むと、アパート等の賃貸借契約書に書かれていることが多いです。家賃は
滞納せずにしっかり払いましょう。急に追い出されても文句は言えません。)

同時履行の関係にある場合、履行の提供なしに、催告だけでは解除できない
(建物売買において、引渡期日に売主が建物を引き渡さない場合、買主は代金を提供
して催告することにより、解除ができます。)


○履行不能:債務者の責任で履行が不能となったときは、
催告は不要でただちに
解除ができる



2.催告とは?

もう一度債務者に履行の機会を与えて、債務者を保護するとともに契約関係の維持を
図るもの

債権者は催告に当たり、「相当の期間」を定めなければなりません。

相当の期間とは、
既に履行の準備をした者が履行をなすためのみに必要な期間をいい、
履行の準備に着手して履行を完了するために必要な期間ではありません。債務者はもともと、
最初の履行期までに履行の準備を済ませておくのが普通だったからです。

つまり、不相当の期間を定めた催告であっても、客観的に相当だと認められる期間内
に債務者が履行をしなければ、解除権が発生します。

「相当な期間」に悩むことなく、催告がなされれば有効に解除権は発生すると覚えて
おいてください。



3.解除権の行使

・解除権は、相手方に対する一方的意思表示によってなす!(
相手方の承諾不要

・解除の意思表示をした場合、もはや
これを取り消す(撤回)することはできない


解除権不可分の原則(*)

・当事者の一方(または双方)が数人ある場合、契約の解除はその
全員より、または、
その
全員に対してのみ行うことができる!

・解除権が複数当事者の1人について消滅した場合、
他の者についても消滅する

*解除権不可分の原則についての詳細は、後ほど「共有」でお話します。



4.解除の効果

・まだ履行されていない債務は、履行する必要がなくなる!
(債務の存在自体が、初めからなくなるわけです)

・既に履行されているものがあるときは、お互い返還する義務を負う!
「原状回復義務」といいます)

・上記2つによっても償われない損害があれば、
損害賠償の請求ができる

・原状回復の履行にあたり、債務者(金銭を返す)は、
受領の時からの利息を付けて
返還しなければならない!



5.解除による第三者との関係

契約が解除されたことによって、第三者は不測の損害を受けるおそれがあります。

売主Aと買主Bの建物売買契約において、買主Bから更にその建物を買ったCさんは、
AとBの契約が解除されたらビックリです。

この場合のCさんはどうなるか?

・AとBの契約解除前にすでに買っていたCさん
Cが
登記をしていれば、所有権を主張できます。AはCから建物を取り戻すことは
できません。またこの場合、Cの善意・悪意も問題になりません。

・AとBが既に契約を解除していたのに買ってしまったCさん
AとCで
先に登記をした者勝ちです。この場合もCの善意・悪意は問題になりません。


契約を解除したのに建物が返ってこないなんて、Aさんがかわいそうではないか、
そう思われるでしょうか?

Cさんも善意ならば、まだ納得できると思います。
問題は、Cさんが悪意の場合ですね。悪意のCと早い者勝ちは納得できません。

これは詐欺取消などによる解除との、蓋然性の違いです。

詐欺の場合は、悪意の第三者は保護されません。
詐欺にあったら、契約を解除するのが普通です。

しかし債務不履行の場合は、解除原因があっても、実際に解除するかどうかわからな
いわけです。そういった不安定な状態であるため、悪意の第三者も保護されるのです。

人材紹介会社のメリットとビジネスモデル

転職エージェントとは厚生労働大臣の許可を受けた民間の職業紹介会社のことです。
この許可は比較的簡単に取得可能で、大手企業はもちろん、資本金の少ない中小企業でも
人材紹介業を行っております。

これによって同じ転職エージェントであっても会社規模により多種多様なサービスが行われています。

■ ビジネスモデルとしてはいたって簡単

  • 正社員採用を考えている企業からどのような人材が必要なのかヒアリングを行い、
    正式に求人として受注を受ける。
  • 転職希望者(以降、求職者)の要望や社風を考慮し、適切なマッチングを行って企業へご紹介する。
  • 企業担当者は求職者の職歴書と人材コンサルタントの評価コメントを確認し、面談を行うかを決める。
  • 面談後、双方OKであれば求職者は企業と直接雇用契約を締結します。
    この採用決定に至った時点で転職エージェントは成功報酬として利益を得ることができるのです。

■ 人材紹介コンサルタントFee(紹介手数料)

転職エージェントの成功報酬は、業界的に決まっているわけではありません。
基本的には求職者の想定年収の30%~35%が相場です。
大規模採用を行う企業によっては1人数十万円など一律にディスカウントしての契約も見られます。

 人材紹介ビジネスはここ数年で急速に成長した産業であり、
紹介手数料の利益率に関してはかなりアバウトな設定で、景気の影響や希少な職種に関してはFeeの増減が見られます。

 

景気が良い時期は積極的に採用を行う企業が多く、採用予算も掛けられますので、
紹介手数料のFeeは高い水準にあります。
逆に景気が悪い時期は採用を行わない企業が多いので、
安い紹介手数料のFeeで積極的に転職サービスを利用してもらおうとするのです。

■ 人材紹介ビジネスの原価率の良さ

年収500万円の方が1人採用決定すれば、30%の報酬の場合で150万円の利益を得られるというビジネスです。
しかも、製品や食べ物のように原価がかかっているわけではありませんから、すばらしい利益率だといえます。

■ あきらかに暴利。何故成り立つのでしょう

人材を採用するという事は、企業にとって非常にお金がかかることです。

例えば、求人サイトに掲載するだけで、週に何十万単位の掲載料がかかります。
掲載するだけで費用が発生しますので、例え応募が1件もなくてもお金は掛け捨てとなってしまいます。

求人サイトの裏側

逆に、求人サイトからたくさんの応募が来すぎてしまっても、人事は全ての履歴書に目を通して、
明らかに職歴が合わない求職者へもNG連絡のコンタクトを取ります。

実際に書類選考を通過して面談へ進めたとしても、書類と実際に会ってみた印象が異なり、
複数名に会っても1人も採用に至らないケースもあります。

この場合、費用はもちろん、人事の時間や工数もかかってしまい、非効率で残念な結果となってしまいます。

 転職エージェントを利用せず、求人サイトを利用して良い方が採用できればいいが、 お金は掛け捨てで人事の業務過多になりやすいので、少しギャンブル的な不安要素があります。

 

そういった点で、金銭的な負担はかかってしまいますが、転職エージェントを利用することで、
求職者のスクリーニングをしてくれ、人事の時間や工数が削減ができ、採用が決まった時点での
成果報酬なので、採用リスクを最小限に抑えることができるのです。

人材紹介サービスが企業人事に気に入られているのはこういったメリットがあるからです。

■ 各種サービスの無料提供

各転職エージェントは専属の人材コンサルタントがおり、1人1人のキャリアについての相談はもちろん、面接対策、職務経歴書の添削など、数多くの登録者がいる中で手間を惜しまず対応してくれます。

何故そんなに親身に対応してくれるのか?

その理由はズバリ!!

1人100万以上で売れる商品だからです。


 

求職者を商品と呼ぶことはご法度とされている業界ですが、転職エージェントもビジネスを行っておりますので、
人が商品であることに違いありません。

■ 最高のサービスを受ける準備をしよう

転職サービスを受ける求職者の立場ですが、ビジネスを行っている転職エージェントである以上、
”優良な求職者(売れる商品)”と思われる事が大切です。

キャリアコンサルタントにどこかで採用が決まる求職者と判断してもらえたのならば、
熱心なサポート体制で最高の転職サービスを提供してくれるでしょう。

そうすれば、おのずと転職活動は効率的にうまく行くはずです。

 効率的な転職活動をする上では、情報量が圧倒的に多い転職エージェントを利用することは不可欠です。 登録した転職エージェント経由で転職せずとも、少しでも良い情報をキャリアコンサルタントから引き出し、最高の転職を実現させましょう。

【宅建】債務不履行

債務不履行とは、債務者が正当な理由がないのに債務の履行をその内容どおりに行わないこと、
つまり、
約束どおりの履行をしないことをいいます。

債務不履行だけで丸々4肢でも、肢の1つとしてでも至る所で出題されます。
少し複雑ですが、非常に重要ですのでしっかり押さえておきましょう。

では、約束を破ったらどうなるのか?順番に見ていきます!



債務者(約束を果たすべき者)とは?

法律の勉強を始めたばかりの方は、
売買契約で債務者といえば、お金を払う買主を思い浮かべてしまいます。

これはちょっと誤りで、売買契約では、
お互いに債権者であり債務者なのです。
どこに着目するかで、債権者と債務者の概念が入れ替わります。

「代金の支払い」についての債権者は売主で、債務者は買主です。
「目的物の引渡し」についての債権者は買主で、債務者は売主です。

買主は売主に対して「買った物を引き渡してくれ」という権利を有するわけです。



債務不履行の種類

債務不履行には、「履行不能」と「履行遅滞」の2種類があります。
この場合の債務者とは、売主を意味します。


1.履行不能(約束を守ることが不可能となること)

意義:契約成立後に、債務者(売主)の責任によって、目的物を買主に引き渡せなくなってしまった
    場合をいいます(建物の売買契約成立後、売主の火の不始末で、引渡し前に建物が焼失
    してしまった場合など)。

要件:
契約成立後に履行が不可能となること債務者に故意または過失があること

重要おまけ:履行期到来以前でも、履行期に給付することが不能確実となれば、履行期の到来を
        待たずに、そのときから履行不能となります!


2.履行遅滞(約束に遅れること)

意義:債務が履行期(*)にあり、しかも履行が可能であるにもかかわらず、債務者が
    履行期を過ぎた場合をいいます(建物の引渡し期日になっても、買主に引き渡さない)。

要件:履行期に履行が可能であること、債務者に故意または過失があること、履行期を過ぎること、
   履行しないことが違法であること(債権者が同時履行を行使している場合など)

重要おまけ:同時履行の場合、相手方(買主)が債務を履行しない(代金を提供しない)間は、
        履行遅滞による債務不履行責任を負うことはありません!


(*)履行期とは?

確定期限(200×年4月30日に引き渡す):
期限が到来したとき
不確定期限(次に雨が降ったときに引き渡す):
債務者が期限の到来を知ったとき
期限の定めない場合(期日の約束をしなかった):
債務者が履行の請求を受けたとき



債務不履行の効果

債務不履行によって損害が生じた場合、債権者は債務者に対して、損害賠償の請求ができます。
しかし債権者は、自分が損をしたこと、およびいくら損をしたのかを証明しなければなりません。

しかしこれはとても面倒なことです。そこで当事者間の契約で、賠償すべき額をあらかじめ決めて
おくことができます。

これを
「損害賠償額の予定」といいます。


以下、損害賠償額の予定についての重要事項です。

・債権者は、
債務不履行の事実さえ証明すれば、損害の発生、損害額の証明をしなくても、
 予定賠償額を請求できる

・賠償額の予定は、
契約と同時にする必要はない

裁判所は、賠償予定額を増減することはできない

・違約金は、
損害賠償額の予定と推定される

・賠償額の予定がなされているときでも、本来の履行の請求または解除権の行使を妨げない


また損害賠償以外に、
もちろん契約を解除することも認められます
債務不履行をするような債務者とは、契約解消したほうが賢いかもしれないですからね。



金銭債務の不履行

ここでは、買主を債務者とした場合の債務不履行を見ていきます。
買主の債務不履行ですから、もちろん代金の不払いです。


・金銭債務は、
履行不能とならない(常に履行遅滞)

・金銭債務は、
不可抗力をもって抗弁とすることはできない

金銭は、その極度の融通性・普遍性から、履行不能は有り得ません。
金銭は万能であり、世の中のどこかには必ず存在します。
特定物とは違って、代わりがいくらでも存在します。
支払いが不可能ということは有り得ないのです。
100円でガムは買えても、ガムで100円は買えないということです。


・債権者は、損害の発生を証明しなくても、賠償請求をすることができる

・賠償額は
法定利率(年5分)を原則とするが、
 これより高い約定利率を定めているときはそれによる

・債権者は、履行遅滞があれば当然に上記法定利率または約定利率による賠償を請求し得るが、
 それ以上の実損害を証明しても、その賠償を請求することはできない

・金銭債務の場合についても、損害賠償額の予定をすることができる

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

債務不履行とは、債務の本旨に従った債務の履行をしないことを言います。
簡単な例で言うと、例えば、通販でお米を10キロかったとします。
購入後、『注文が完了しました』との表示で、契約が成立しました。

この瞬間、お店には、お米10キロを御客様に引き渡す(届ける)債務が発生し、他方、お金を払って下さいと請求する債権が発生します。
これに対して、お客様には、お米10キロを引き渡せと請求する債権が発生し、他方、お金を支払う債務が発生します。

この債務部分に関して、履行つまり、支払いをしないだとか、お米を引き渡さないだとかそういった、法律上の不備が起こった場合、これを民法上『債務不履行』となったと言います。

債権と債務は法律用語なので難しいかもしれませんが、簡単に言うと、何かを請求する権利が債権で、何かをしなければならない義務を債務と言うと考えればイメージしやすいです。

この債務不履行には、民法上、基本的な類型(タイプ)として3つの場面が存在します。
具体的には、『履行遅滞』『履行不能』『不完全履行』となります。

ここで、履行とは、簡単にいうと、約束事を守ることと考えると分りやすいと思います。

履行遅滞は読んで字のごとく、履行、つまり、約束例えば、お金を支払う期日があったとして、これを過ぎてしまうことをいいます。
例えば、上記お米の代金を注文後3日以内に支払わなければいけないという約束があった場合、お客がこれを過ぎてしまっても支払いをしなかった場合、履行遅滞となります。

次に、履行不能ですが、これは、例えば、上記例で言って、お店が火事になり全焼してしまい、お米10キロが全部滅失してしまったような場合、債務を履行することが不可能となります。
このような場合、履行不能となります。

最後に、不完全履行ですが、これは例えば、上記例で言えば、お店はお米10キロを引き渡さなければならない債務を負担しておりますが、送られてきたお米は、10キロではなく7キロしかなかった場合等です。

上記のような、類型に当たる場合、民法では、現実的履行の強制と債務不履行に基づく損害賠償請求、及び、債務不履行に基づく解除を認めています。

簡単にまとめると、債務不履行とは、契約(約束)をしたにもかかわらず、これを一定の類型で守らないことです。
これにより、損害があればその補てんを求めたり、契約を無かったこと(解除)にする請求をしたりすることができます。

瑕疵担保責任とは?

売買の目的物に「隠れたる瑕疵(かし)」がある場合には、買主は、売主に対して契約の解除や損害賠償の請求ができます。

 

瑕疵担保責任を追及するためには

 

  1 売買目的物に「瑕疵」があること

 

「瑕疵(かし)」とは、その種類のものとして通常有すべき品質・性能に欠けるところがあるか、または当事者が表示した品質・性能が備わっていないことを言います。例えば、建物が雨漏りした場合は、通常有すべき品質・性能に欠けることになり、「瑕疵」があることになります。

   

  2 その瑕疵が「隠れたる瑕疵」であること

 

 「隠れたる瑕疵」とは、買主が瑕疵を知らずに、または知り得なかった瑕疵を言います。 売主より告げられた瑕疵、買主が知っている瑕疵、買主が普通の注意をしていれば知り得た瑕疵は、「隠れたる瑕疵」にはあたりません。

 例えば、売主より雨漏りすることを告げられて購入した場合は、当該雨漏りは、事前に知らされていますので「隠れたる瑕疵」にはあたらず、「瑕疵」であっても、瑕疵担保責任は追求できまません。

 

   

  3 瑕疵は契約締結時にあること

 

引渡後に発生した原因による後発的な瑕疵や、耐用年数切れについては、瑕疵担保責任は追及できないことになります

   

瑕疵担保責任の追及で何ができるか

 

  1 契約の目的が達成できない場合

  契約の解除、および損害賠償の請求
  2 その他の場合
  損害賠償の請求
   

 

* 各種の法律が規定する「瑕疵担保責任」

民    法

  • 契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が「隠れたる瑕疵」の事実を知ってから1年以内にする必要があります。

  • 売主は、瑕疵担保責任を負わない旨の特約をしても、知っていて告げなかった事実については、責任を免れることはできません。

宅地建物取引業法

  • 宅建業者が売主の場合、その目的物の瑕疵担保責任の期間について、引渡の日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をすることはできません。
     例えば、瑕疵担保責任の期間を引渡日から1年とする特約をつけた場合は、この特約は無効となります。

住宅の品質確保と促進等に関する法律(品格法)

  • 新築住宅の場合、売主は、引渡の日から10年間、住宅の「基本構造部分」について、瑕疵担保責任を負うことが義務付けられてます。
     「基本構造部分」とは、「住宅の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの」と規定されています。
     「新築住宅」とは、完成後1年未満のもので、かつ、人が住んだことがないものをいいます。

消費者契約法

  • 「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいいます。

  • 消費者契約の目的物に隠れたる瑕疵があるときに、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任を全部免除する条項は、無効となります。

 

* 「瑕疵担保責任」と「アフターヒーサービス」の違い

 

責任の性質

責任の対象

瑕疵の種類

責任を負う期間

瑕疵担保責任

 法律により当然に負わされる法定責任

売買契約締結当時の目的物の瑕疵

「隠れたる瑕疵」に限られる

特約がない限り、原則として、買主が瑕疵を発見してから1年間

アフターサービス

アフターサービス責任を負う旨の約束をしたことにより、売主が負う約定責任

契約で定めた期間内に生じた瑕疵・欠陥

「隠れたる瑕疵」に限定されない

部位別に1年から10年の期間が定められている

【宅建】請負

請負とは、当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約束し、相手方(注文者)が
その仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約をいいます。

まず、
契約書の作成は必要ない諾成契約という事を覚えておいてください。
口頭の約束だけで成立します。

では、試験に出そうなポイントを順番に見ていきましょう。


■請負人の権利義務

・請負人の責任により、仕事に着手するべき時期に着手しないとき、および途中で仕事を
中止したとき→注文者は請負契約を解除できる

・請負人はその仕事を、他の者にやらせることができる
(下請負人の故意過失について、請負人は責任を負う)

・請負人が材料の全部または主要部分を提供→完成した目的物はいったん
請負人のもの
となる(引渡しによって注文者のものとなる)

・注文者が材料の全部または主要部分を提供→目的物ははじめから
注文者のものとなる



■請負人の瑕疵担保責任

目的物に欠陥があった場合、請負人は下記の責任を負います。

瑕疵修補請求権
原則:あり
例外:欠陥が
重要なものでなく、かつ、その欠陥を直すのに多額の費用を要する場合はなし

損害賠償請求権
原則:瑕疵修補請求権とともに、またはこれに代えて行使できる

解除権
原則:欠陥のため契約の目的が達成できないときは解除できる
例外:
建物その他土地の工作物(水道管敷設等)については解除できない

責任追及可能期間
原則:目的物の引渡し(引渡し不要の場合は仕事終了時)から
1年(特約で10年可)
例外:建物その他土地の工作物の欠陥の場合は5年
石造、土造、レンガ造、金属造など、頑丈な工作物の場合は10年
建物その他土地の工作物が、欠陥により滅失・毀損したときは、滅失・毀損から1年

※新築工事の特例:請負人は、注文者に当該住宅を引き渡してから10年間責任を負う
(特約により20年まで伸長可)

免責
・あらかじめ注文者との間で、
担保責任を負わない旨の特約を結んでいた場合
・注文者の提供した材料または指図によって欠陥が生じた場合
(請負人が、材料または指図の不適切なことを知って告げなかった場合は責任あり)



■注文者の義務

・報酬支払い時期は原則として後払いとする

報酬支払いと目的物引渡しは、同時履行の関係に立つ

・報酬支払いと仕事の完成は、同時履行の関係に立たない
(請負人「先にお金くれないと家建てないよ」←不可)



■請負の終了

・注文者は、
仕事の完成前であれば、請負人の受ける損害を賠償して、いつでも
一方的に契約を解除することができる
(解除は仕事完成前に限られ、引渡し前でも完成後は解除できない

・目的物が可分であるときは、未完成部分についてだけ解除することができる

・請負人からは解除することはできない(注文者の破産などの例外あり)