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【宅建】取得時効と消滅時効

■取得時効

所有の意思をもって平穏かつ公然に占有する

・占有者が占有のはじめ
善意無過失のときは10年そうでないときは20年占有する

「所有の意思」=借主や預り主としての占有を含まない。
「平穏かつ公然」=荒っぽくなく、堂々と。
「10年」=他人の物であることを知らず、そのことについて落ち度がない。
「20年」=他人の物であることを知っていても、落ち度があって知らなくてもよい。


・取得時効の対象となる権利は、
所有権・地上権・永小作権・地役権・賃借権など
 (地役権は、「継続かつ表現のもの」に限り時効取得できる)



■消滅時効

時間の経過により権利が消滅することを消滅時効といいますが、では、その時間の経過
とはどこからを指すのでしょうか。

消滅時効が試験に出るとしたら、この「消滅時効の起算点」です。

確定期限ある債権(○月○日に~する)=
期限到来時から
不確定期限ある債権(父が死亡したら~する)=
期限到来時から
期限の定めなき債権=
債権が成立したときから
停止条件付債権(○○したら~する)=条件成就のときから
解除条件付債権(○○しなかったら~する)=債権成立のときから(条件成就未定の間でも
時効は進行する)
債務不履行による損害賠償債権=本来の債権の履行を請求できるときから


・債権の消滅時効の期間は10年
・債権以外の財産権(地上権、永小作権、地役権、抵当権)の消滅時効の期間は20年
確定判決によって確定した債権の消滅時効の期間は10年
所有権は消滅時効にかからない



■時効の中断

時効の成立に必要な期間の進行を中断させ、それまでの期間の経過をゼロにすることを
「時効の中断」といいます。

それまで進行した時効期間は、いっさい効力を失います。

中断事由として以下のものを覚えておいてください。


1.
請求(裁判上のもの=訴えの提起、裁判外のもの=催告)

債権の給付を求める訴え、支払命令、和解のための呼び出し、破産手続参加など。
訴えが却下されたり、取り下げられた場合には中断とならない。

催告とは、6ヶ月以内に裁判上の請求等をすることによって、催告のときにさかのぼって
時効を中断させるための前提手段。

2.
差押え(仮差押え、仮処分を含む)

3.
承認

時効によって利益を受ける者が、時効によって権利を失う者に対して、その権利が存在
することを知っている旨を表示すること。
一部弁済や利息の支払い、証文を書く、もう少し待ってほしいと口頭で申し入れる、など。


プラス、取得時効特有の中断事由として、
「占有の喪失」があります。



■時効の放棄・援用

時効を主張することは義務ではなく、本人の自由に任されます。

そこで、時効を主張しないことを「時効の利益の放棄」といい、
時効を主張することを「時効の援用」といいます。

以下、ポイントです。

時効の完成前に、時効の利益を放棄することはできない!
 (これを認めると、悪徳金融業者の暴利行為が始まります)

・時効の援用は本人だけでなく、保証人・連帯保証人(詳しくは後日)、物上保証人・
 抵当不動産の第三取得者もすることができる!

・時効が完成すると、
時効の効果は、その起算日にさかのぼって効力を発する

【宅建】弁済と相殺

■弁済とは

債務者が約束の債務を果たし、債権者の債権が目的を実現し消滅すること


■要件

弁済すべき者が、
弁済を受ける者に対して、
約束(契約・法律で定められた)の債務を、
定められた場所で、
定められた時期に、
定められた方法で、
なされること。


■弁済すべき者

・債務者
まず、債務者本人は当然に弁済ができます。
その他に、債務者の代理人も弁済ができます。

・第三者
債務者、債務者の代理人以外の第三者も弁済ができますが、要件が2つあります。

債務の性質がこれを許さないものでないこと

債務の本旨から、債務者本人にしか弁済できないと考えられるものについては、
第三者の弁済は許されません。
例:債務の内容が、著名な学者による講演とする場合などは、その学者本人が必要

当事者が反対の意思を表示していないこと

当事者は、第三者による弁済を禁止することができます。
友人や両親が「代わりに払ってやる」と言っても「大きなお世話」というわけです。
例外:利害関係を有する第三者(抵当不動産の第三取得者、物上保証人など)は、
債務者の意思に反しても弁済ができる


■弁済を受ける者

もちろん、債権者です。

しかし、間違えて債権者でない者に弁済をしてしまった場合が重要となります。
そんなことがあり得るの?と思われますが、あるのです。

原則として、債権者以外の者への弁済は無効です。
よって、債権は消滅しません。

しかし、
債権の準占有者(本当の債権者ではないが、権利証や実印などを持っており
債権者のように見えた人)に対し、「善意無過失」で弁済した場合は有効となります。

また、
受取証書(領収証)を持参した者に対して、善意無過失で弁済した場合も有効
だということも覚えておいてください。


■弁済場所

特定物:債権発生当時、その物が存在した場所
不特定物、金銭債務等:
債権者の現時の住所

※特定物=個性ある物(○月○日収穫のササニシキ100キロ)
不特定物=ただ一定の種類や量(米100キロ)


■弁済時期

当事者の特約・法律の規定によって定まる。

ここで覚えておいてほしいのは、
売買の目的物の引渡しについて期限を定めた場合は、その代金の支払いにも同一期限が
付されたものと推定される、ということです。

同時履行の趣旨です。

法律の規定については、順次、場面に応じて覚えていってください。


■弁済の提供

原則:現実の提供(売買代金を銀行からおろして、約束の場所へ持参して提示する)

例外:口頭の提供(債権者が、「あらかじめ受領を拒み」、または「履行のために
債権者の行為を必要とするとき」には、口頭の提供で足りる)

弁済の提供をすることにより、債務者は債務不履行責任を免れます。

 

相殺(そうさい)とは、債権者と債務者が相互に同種の債権・債務を有する場合に、
その債権と債務とを対等額において消滅させる一方的意思表示をいいます。


たとえば、AがBに対して100万円の金銭債権を有し、
BがAに対して80万円の金銭債権を有するとします。

AがBに対して相殺の意思表示を行うと、Bに対する80万円の債務を免れることができます。
つまり、差引計算によりBのAに対する債権は帳消しになり、
相殺後は、AのBに対する20万円の債権が残ることになるのです。

そしてこの場合、相殺する方の債権(AのBに対する債権)を
「自働債権」
相殺に供される方の債権(BのAに対する債権)を
「受働債権」といいます。


以下、相殺の要件、方法、効果と、その注意点をまとめてみましたので、参照してください。

自働だの受働だの頭が混乱しそうになる箇所もありますが、
頭を柔らかくして読んでみてください。



■相殺の要件(相殺の要件が揃った状態を
「相殺適状」といいます)

1.2つの債権が
有効に成立し、かつ、対立していること

・時効により消滅した債権であっても、それが
消滅以前に相殺適状にあったときは、
その債権を相殺に供することができる
・既に消滅時効にかかった債権を譲り受けて、これを自働債権として相殺することは許されない


2.対立する両債権が同種の目的を有すること

・履行地が同一である必要はない


3.両債権がともに
弁済期にあること

・受働債権については、期限の利益を放棄すれば、弁済期に達している必要はない
・期限の定めのない債務は、自働債権としても受働債権としても相殺に供しうる


4.相殺を許す債務であること

・不法行為によって生じた債権を
受働債権として相殺することはできない
・相手方の同時履行の抗弁権が付着している債権を
自働債権として相殺することはできない
・支払いの差止めを受けた債権を
受働債権として相殺することはできない
・支払いの差止め後に取得した債権を
自働債権として相殺することはできない

どういうことだか意味不明だと思います。
出題されるとしたら割とこのままかと思いますが、一応解説しておきます。

不法行為から生じた債務(損害賠償債務)を受働債権として相殺することにより、
不法行為債務を免れることは許されません。
例)Aが交通事故によりBに100万円の損害を与えたが、他方AはBに100万円の賃金債権を
有していた場合、AはBに対して有する賃金債権を自働債権として、Bの損害賠償債権と相殺
することはできない。

これを認めると、弁済を受けられない債権者が、
腹いせとして不法行為に及ぶ可能性があるためです。

どうせ返してもらえないならケガをさせてやろう!と。

また、同時履行の抗弁権が付着している債権を自働債権として相殺することを認めると、
同時履行の原則が根底から覆されてしまいます。

相手方に、強制的に履行させるのも同然です。

差止めとは、たとえばAのBに対する債権が、
Aの債権者Cによって支払いを止められることです(差押え)。

同時履行と同様、これを認めると、差押えという制度が無意味となってしまいます。
差押えの実効性を確保するため、上記の相殺は認められません。



■相殺の方法

当事者の一方から相手方に対する意思表示によって行われる。
相殺の意思表示に、
条件または期限を付けることができないということを覚えておいてください。



■相殺の効果

双方の債権が、その対等額において消滅する。

【宅建】代理制度について

代理とは、「他人の行為」によって、自分が効果を受ける制度をいいます。

その最も大きな特徴は、普通は法律行為をする者とその効果を受ける者とが同一で
あるのに対し、これが分かれているという点です。

よって、3名の人物が登場します。

他人(=代理人)の行為によって効果を受ける「本人」、
契約の「相手方」、
本人の代わりに意思表示をなす、または受ける「代理人」です。

代理の問題を解く際には、必ずこの3名を使った三角形の図を頭に描き(紙に書き)、
どの部分の関係が問題となっているのかを把握するようにしてください。

分かりやすいように、前もってご自分に合った位置関係を固定して練習するように
しておいたほうがいいでしょう。

ちなみに私は、上に本人、左下に代理人、右下に相手方という三角形を作っています。


では、代理の要件を見ていきましょう。

代理人の行為の効果が本人に生じるためには、
代理人に代理権があり
顕名をして
意思表示(代理行為)をすることが必要です。

一つずつ解説します。



■代理権

代理には、任意代理と法定代理があります。

任意代理:本人と代理人の約束により代理権が発生
法定代理:法律によって当然に代理権が発生(本人が未成年など)

ここでは、任意代理の復任権と、代理権の消滅事由について覚えておいてください。


任意代理人の復任権
任意代理人とは本人の信頼に基づくものであり、いつでも辞任できるため、
原則として復任権はありません。
例外:
本人の許諾あるとき止むを得ない事由あるとき
(法定代理人:原則として復任権を有する)

注)
復代理人とは代理人の代理人ではなく、本人の代理人となります


任意代理人の代理権消滅事由
本人の
死亡破産・相互解除
代理人の
死亡破産後見開始の審判・相互解除


任意代理権の消滅事由は上記の通りとなります。

代理の効果は本人に帰属し、代理人自身は責任を負うことはありません。
本人が、あえて未成年者に代理人になってもらった場合、
その未成年者が下手な取引をして損害を被っても自業自得となります。
代理人は、未成年者でも成年被後見人でも被保佐人でも被補助人でも構いません。

つまり本人は、代理人が制限行為能力者であることを理由に、
契約を取り消すことはできません。
能力者が制限行為能力者となってしまった場合(後見開始)と区別してください。



■顕名(けんめい)

代理人が代理行為をする場合
「本人のためにすることを示して行う」ことを要します。
これを代理における顕名主義といいます。

「本人のためにする」とは、法律効果を本人に帰属させようとする意思を意味し、
本人に経済的利益を与えるという趣旨ではありません。

よって、代理人が本人の利益のためではなく、自分や第三者の利益のために代理行為を
しても顕名が認められ、客観的に代理権の範囲内の行為であれば、その行為は代理行為
として有効に成立し、当該行為の効果が本人に帰属してしまいます。

これでは代理人の権限濫用が行われると思いませんか?

そうです。
その通りです。

よって、代理人のこのような背信的意図を相手方が知り、または注意すれば知ることが
できた場合には、本人に効果が帰属しません。

これは覚えておいてください。


では、代理人が顕名をしない場合はどうなるのでしょうか?
これは、表意者(代理人)が、「自己のためになしたもの」とみなされます。

たとえば、BがAのためにCの土地を購入するとします。
自分がAの代理人であることを示さずに(CはBがAのためにすることを知らず、注意を
払っても知りえなかった)Cと契約した場合、当該売買契約はBC間で成立し、Aはそれ
によって影響を受けません。

では、その土地が欲しいAはどうすればいいのか?

これは次々ペ-ジ、表見代理・無権代理で解説いたします。



■代理行為

代理権があり、顕名をすれば、その代理行為の効果は本人に帰属します。

ここでの論点は、その代理行為が、
きちんとした代理権を伴ってなされたかどうかです。

大半は無権代理に譲りますが、ここで代理行為の瑕疵についてだけ触れておきます。

契約の際に意思の欠缺(心裡留保、虚偽表示、錯誤)または詐欺、強迫があったか
どうかは、
「代理人」を基準に決められます。

そして、代理人が詐欺などにより契約した場合に
取消権を有するのは「本人」です。

代理の効果は本人に帰属しますから当たり前ですね。

これは超重要ですので覚えておいてください。

また、この例外も重要です。

特定の法律行為をなすことを委託された代理人が、本人の指図に従いその行為をなした
場合、本人が知っていたか、または過失により知らなかった事情については、たとえ代
理人がそれを知らなくても、本人はその不知を主張できない。

たとえば、Aの代理人Bが、本人Aの指定したC所有の家屋を買い受けた場合、
Aがその家屋に瑕疵があることを知っていたとすれば、たとえ代理人Bが瑕疵の存在を
知らなかったとしても、AはCに対して瑕疵担保責任を問うことはできません。

瑕疵担保責任とは、売買契約後に隠れたる瑕疵があった場合に、
善意なら損害賠償を請求できるなどの権利です。

 

代理人は、本人を代理して自分自身と契約をすること(自己契約)や、
契約当事者双方の代理人となって契約をすること(双方代理)ができません。

これらの契約がなされた場合、「無権代理」として無効(*)になります。
また、無権代理であっても、それがまるで正当な代理であるような外観があり、
相手方が誤信しても仕方ない場合などは、「表見代理」として有効になります。
この無権代理・表見代理はとても重要ですので、次回で詳しく解説いたします。

(*)正確には絶対的無効ではありません。無権代理で説明します。

では今回は、自己契約・双方代理の要件と、これらが有効となる場合を見ていきます。
少し細かい知識になりますが、近年の宅建試験の傾向からして、十分に出題も考えら
れますので、頭の片隅に入れておいてください。



■自己契約・双方代理の禁止


1.趣旨

事実上1人で契約することになり、正常な法律行為を望めないため



2.具体例

自己契約:買主Aと売主Bの売買契約において、BはAの代理人にもなった
双方代理:買主Aの代理人がC、売主Bの代理人もCで、CがAB間の売買契約を締結

自己契約のBは、二束三文の物をAに高額で買わせてしまう可能性があります。
双方代理のCは、AまたはBのどちらかに肩入れしてしまう可能性があります。

よって、利益保護のために、民法はこれらを原則として禁止しています。



3.例外

法律には例外があることを今までに何度も述べてきました。
よって、自己契約・双方代理も、すべて禁止というわけではありません。

では、例外を3つ挙げます。

弁済期の到来した債務の弁済
売買に基づく登記申請行為
本人の承諾がある場合

これらは、本人または当事者に不利益を及ぼすおそれがありません。
1つ目と3つ目は簡単ですね。そのままです。
2つ目は、簡単に言うと、司法書士の仕事です。
すでに決まっている契約を登記するだけなので、双方を代理することが可能です。

この3つを覚えておきましょう!



4.効力

無権代理行為となる。
しかし、追認によって有効な代理となります。

 

無権代理・表見代理」をお送りいたします。

とても重要ですので、繰り返し何度も読んでみてください。

・代理人と称して行為をした者に、実は代理権がなかった場合
・代理人が与えられた代理権の範囲を超えた行為をした場合
・以前は代理権があったが、行為時には消滅していた場合

これらは無権代理となります。

そして無権代理行為であっても、
それがまるで本当に代理権があるように見えるときは、表見代理となります。


では、試験に出そうなポイントを順番に見ていきます。


■無権代理の効果

無権代理人が結んだ契約は無効であり、原則として本人に効力は生じない!
(代理人にも効力は生じません)



■本人の追認権

本人が無権代理行為を追認すると、原則として
「契約時」に遡って有効な代理行為が
あったことになる!(遡及しない旨の特約も有効)

本人は、無権代理行為(=契約)を追認して、正当な代理によってなされた場合と
同じ効果を生じさせることができます。

追認をするのに、
無権代理人や相手方の同意は必要なく
また、
追認の相手方は、無権代理人でも契約の相手方でも構いません

ただし、無権代理人に対して追認をした場合は、
相手方が追認の事実を知らないと
相手方に対しては追認の効果を主張することができません。

以前解説した、「黙示の追認」も認められることも覚えておいてください。



■本人の追認拒絶権

追認権は「権利」であって、「義務」ではない!
無理に追認をする必要もありません。



■相手方の催告権

相手方は相当の期間を定め、本人に対して追認をするか否か確答すべき旨を催告する
ことができ、確答がなかった場合は、「追認拒絶」があったものとみなされる!

相手方は、契約が有効なのか無効なのか不安定な状態に置かれています。

そこで民法は、相手方に「催告権」と「取消権」を与えています。

この催告権は、
契約当時に、その契約が無権代理であることを知っていた場合にも
認められる
ということも覚えておいてください。



■相手方の取消権

相手方は、当該契約を取り消すことができる!

これには重要な要件が2つあります。

契約時に無権代理であることを知らなかった(過失の有無は問わない)
本人がまだ追認をしていない

この2つの要件を満たせば、相手方は契約を取り消すことができます。



■無権代理人と相手方の間の効果

相手方が
「善意無過失」ならば、無権代理人に対して、契約の履行または損害賠償請求
をすることができる!

履行か損害賠償かは、相手方の選択によります。
ただし、無権代理人が制限能力者である場合は、これらの請求はできません。



■表見代理の効果

代理権授与の表示による表見代理
本人が契約の相手方に対して、ある者に代理権を与えたと表示した
実際には代理権を与えていないのに、口頭や書面等でウソを言った場合です。

権限踰越による表見代理
基本権限はあるが、それが代理権限の範囲を逸脱してなされた
賃貸契約の代理を頼んだのに、それを売却してしまった場合等です。

権限消滅後の表見代理
代理権が消滅して、もはや代理人でない者が代理行為をなした
かつては代理権が存在し、かつて有した代理権の範囲内で代理行為を行った場合です。

これらの表見代理が行われた場合、「善意無過失」の相手方は、

・表見代理を主張して本人の責任を問う(催告し契約を履行させる)!
・無権代理として無権代理人の責任を問う!
・無権代理行為として取り消して、契約を白紙に戻す!

という3つの方法のうち1つを自由に選択して主張することができます。



■本人の地位と無権代理人の地位が同一人に帰した場合

本人と無権代理人が親子だった場合などのお話です。

[ 本人が死亡し、無権代理人が本人を相続した場合 ]
単独相続=
当然に有効となる!
共同相続=
相続人全員による追認権の行使により有効となる!

無権代理人は自業自得であり、
契約は有効となって、相手方の請求を拒むことができなくなります(追認拒絶不可)。

ただし、他にも相続人がいる場合は、他の相続人を保護するために、
当然に有効とはなりません。


[ 無権代理人が死亡し、本人が無権代理人を相続した場合 ]
当然には有効とならず、
追認を拒絶することができる!

【宅建】追認について

追認とは、取り消すことができる行為を取り消さないものと決める意思表示です。
つまり、
取消権の放棄を意味します。

追認がなされると、法律行為は有効に確定します。
契約の相手方は、その行為を追認するのかどうか、催告することができます。

では、追認の詳細を見ていきましょう。



■追認ができる者

追認権者は取消権者と同じ、イコールです。

未成年者、被保佐人、被補助人が保護者(法定代理人、保佐人、補助人)の同意を
得ないで行った行為や、成年被後見人が行った行為(日常生活に関する行為を除く)は、
成人に達するなど、
無能力を脱した状態でないと自ら追認することはできません。

詐欺、強迫を受けた者も、
自由で正常な判断をなし得る状態になって、初めて追認ができます。

保護者は自由に追認できます。
制限行為能力者の同意などは必要ありません。



■法定追認

追認の意思表示をしなくても、
ある一定の行為がなされた場合は、追認があったものと擬制されます。
法律関係の早期確定による取引の安定と、相手方の保護を図った規定です。

以下が法定追認事由です。

a.
全部または一部の履行:取消権者が債務者として履行、または債権者として受領
b.
履行の請求:取消権者がした場合に限る(例、相殺の意思表示)
c.
担保の供与:取消権者が債務者として担保供与、または債権者として担保授受
d.
取得した権利の全部または一部の譲渡:取消権者がした場合に限る
e. 強制執行:取消権者が債権者として執行した場合に限る
f. 更改(契約の一種。宅建試験での出題可能性は低いと思うので頭の片隅にでも・・・)


例を挙げます( a ~ fは上記と対応しています)。

売主Aと未成年者Bが売買契約を行いました。
Bは契約締結時には未成年でしたが、現在は成年に達しています。

a. Bは代金を支払うと、追認したものとみなされます。(物を受領した場合も同じ)

b. BがAに対して「物を渡せ!」と言うと、追認です。(AがBに「金を払え!」と
言っても、Bが追認したことにはなりません)

c. Aの要求に対してBが土地に抵当権を設定したり保証人をつけると、追認です。
(逆も同じ)

d. Bが第三者Cに、BがAに対して有する物の引渡債権を譲渡すると、追認です。
(AがCに代金債権を譲渡しても、Bが追認したことにはなりません)

e. BがAに対して強制執行をかけると、追認です。(AのBに対する強制執行では、
Bは追認したことにはなりません)

f. Bは現金を持っていないため、代わりに宝石で支払うとAに伝えると、追認です。

注:意思表示による追認と同じく、制限能力者本人は、保護者の同意を得るか無能力を
脱するかしないと、これらの行為を行っても法定追認は成立しません。



■追認の効果

法律行為は有効に確定し、もはや取り消すことができなくなります。



■追認の期間

制限行為能力者が無能力を脱したあと、相手方から
「1ヶ月以上の期間内に、
契約を追認するか否か確答すべき旨」を催告
してきたにも関わらず、
確答しなかった場合は、追認したものとみなされ、契約を取り消すことができなくなります。

保護者に対して「1ヶ月以上の期間内に、契約を追認するか否か確答すべき旨」を
催告して確答がなかった場合も、追認したものとみなされます。

よって返事がなかったら、取り消すつもりはないんだな、ということで、
契約は有効に成立いたします。

1ヶ月以上というのは1ヶ月以上です。
「2週間以内に取り消すか追認するか返事をしろ」は無効です。

【宅建】無効と取り消しについて

契約が無効となる場合

公序良俗違反
原始的不能
意思無能力
心裡留保
虚偽表示
錯誤


契約が取り消しうる場合

行為無能力
詐欺
強迫


前ページまででこれらの解説をしてきました。

これからも代理などで無効や取消がでてきますが、少し難しくなってきますので、
とりあえずここでひとまず区切り、前ページまでの総まとめをしたいと思います。

しっかり基本を身につけておいてください。



■無効と取消の比較(1)

主張できる者
無効:
原則的に誰からでも主張可(例外として錯誤無効)
取消:
取消権者(下記2で解説)のみ主張可

効果
無効:そもそも無効である(下記3で解説)
取消:
契約締結時に遡って無効となる(下記4で解説)

消滅の有無
無効:放っておいても無効は無効
取消:放っておくと取消権が時効消滅し、有効で確定してしまう(下記6で解説)

第三者保護規定
無効:原則なし(例外として虚偽表示の善意の第三者)
取消:原則なし(例外として詐欺取消前の第三者)



■取消権者(2)

・制限行為能力者(意思能力があるときにかぎり、単独で取り消すことができる)
・瑕疵ある意思表示をした者(=詐欺、強迫を受けた者)
・上記2つの代理人(=親権者、後見人)
・上記2つの承継人(=相続人)



■無効の基本的効果(3)

無効は無効なので、履行の請求はできません。
すでに履行がなされてしまっていた場合は、その返還を請求できます。

双務契約の無効で、当事者双方がお互いに返還義務を負う場合、
両者の返還義務は同時履行の関係となります。



■取消の基本的効果(4)

法律行為が取り消されると、それは初めから法律効果が生じなかったものとされます。
つまり、初めから何もなかったことになるのです。

すでに履行がなされてしまっていた場合は、その返還を請求できます。

双務契約が取り消され、当事者双方がお互いに返還義務を負う場合、
両者の返還義務は同時履行の関係となります。(無効と同じ)


一つ問題となるのは、行為無能力により契約が取り消された場合です。

未成年者等の無能力者の返還義務は、
「その行為によって現に利益を受ける範囲」に減縮されます。

いわゆる「現存利益(げんぞんりえき)」と呼ばれるものです。

これは法律界ではよく聞く言葉なので覚えておいてください。

現存利益とは、現に存在する利益です。
意味が分かりませんね。

未成年者AがBさんから30万円を借りたとします。
この30万円を、Cさんへの借金の返済20万円、食費5万円、パチンコ5万円に充てたとします。

このうち、借金20万円と食費5万円は必要費ですね?
Bさんからお金を借りなくても使うべきお金です。

逆にパチンコの5万円は単に浪費したお金です。
この必要費25万円が現存利益です。

本来使うべき自分のお金の支出を免れたため、利益の現存があると言えます。

つまり未成年者Aは、Bさんに25万円を返還すれば義務を免れます。
(しかもこれは、Aの善意悪意を問わないということも覚えておいてください)



■無効と取消の二重効(5)

無効と取消の両方の要件が具備している場合、当事者は自由に選択して主張できます。

前回の詐欺と錯誤以外の例を挙げますと、
例えば幼稚園児が親の承諾を得ずに重要な財産の売買契約を行った。(有り得ない?)

両親は、幼稚園児であることを理由に意思無能力による無効を主張してもよいですし、
未成年であることを理由に行為無能力による取消を主張してもよいのです。



■取消権の消滅(6)

法律行為が取り消される可能性のある状態ということは、
相手方や第三者の地位を不安定にしています。
いつ取り消されるか分からないのはドキドキです。

そこで法律関係の安定を図るため、一定期間の経過によって取消権は消滅してしまいます。

追認をすることができるときから5年
行為のときから20年


このどちらかが先に経過した時点で、取消権は消滅いたします。

行為のときとは、まさに法律行為が行われたときです。
強迫を受けたときから20年間は、その契約を取り消すことができます。

【宅建】詐欺と強迫

■詐欺とは

他人をだまして錯誤に陥らせ、それに基づいて意思表示をさせること


■強迫とは

他人に恐怖を与え、その恐怖によって意思を決定、表示させること


■AがBさんに詐欺または強迫を行った場合

詐欺:Bさんは常にその意思表示を取り消すことができる
強迫:Bさんは常にその意思表示を取り消すことができる


■Aの保証人CがBさんに詐欺または強迫を行った場合

詐欺:
Aも詐欺の事実を知っていたときに限り
       Bさんはその意思表示を取り消すことができる。
強迫:
Aの知・不知に関わらず、Bさんは常にその意思表示を取り消すことができる。



■詐欺・強迫による取消と第三者保護

1.詐欺

ここです。少しだけ難しいです。少し詳しくいきます。
取消による効果をもって、善意の第三者に対抗することはできません

取消による効果というのは前回お話しましたが、遡及的無効ですね。
ここまでは簡単ですが、難しいのは善意の第三者とは誰を指すのか?ということです。

この場合の善意の第三者とは、
取消し前に利害関係を持った者のことです。
取消し後に利害関係を持った第三者については、普通に登記の先後の問題となります。


例えば、売主であるBさんをだましてBさんの不動産を買ったAから、
Cさんが事情を知らないでさらにその不動産を買ったとします。

この場合のCさんは善意の第三者に該当します。

つまりBさんは、AB間の売買契約を取り消して無効になったことを
Cさんに対抗することができません。

これではBさんがかわいそうではないでしょうか?

しかし理由があります。
民法はだまされたBさんよりも、何も知らないCさんを保護するのです。

だまされたBさんにも落ち度があって、
何も知らないCさんよりも不利益を受けても仕方ないというわけです。


では、善意の第三者に該当しない第三者とはどういった者でしょうか?
例を2つ挙げます。

・1番抵当権が詐欺によって放棄された場合の2番抵当権者
・連帯債務者の1人が詐欺によって代物弁済した場合の他の連帯債務者

これらの者は善意の第三者には該当しません。


つまり「善意の第三者」とは、
「何も知らずに、詐欺による意思表示に基づいて取得された権利について新たな利害関係
に入った者」をいいます。

少し難しいですが、上記のCさんは新たに不動産を買って利害関係が生まれてますね?

一方、2番抵当権者は何もしていません。
1番抵当権者がだまされて、自動的に繰り上がっただけです。

他の連帯債務者というのも同じです。
単に反射的に利益を得たに過ぎません。



2.強迫

取消による効果をもって、善意の第三者にも対抗することができる

詐欺の場合と異なって、第三者よりも表意者が保護されます。
強迫されていたのだから仕方なく、だまされるよりも帰責性が低いというわけです。


つまり今回の要点をまとめますと、
詐欺の場合は、第三者が詐欺を行った場合や善意の第三者に対して制限がありますが、
強迫の場合は何でもアリで、誰にでも取消を対抗できる!ということです。

詐欺による取消の第三者の概念が少し難しいですが、
これは事例で覚えてしまったほうがいいかもしれません。

この場合は第三者に該当する、この場合は第三者に該当しない、
と、問題を見ながらそのまま覚えてしまってください。



補足として、詐欺とは他人にだまされ錯誤に陥ってなした意思表示ですから、
その錯誤が要素の錯誤にあたるときは、
「詐欺による取消」または「錯誤無効」のどちらを選択して主張することもできる
ということも覚えておいてください。

要素の錯誤については前にお話しましたが、
錯誤無効の成立要件であって、法律行為の重要な点に錯誤があるということです。

【宅建】意思の不存在

■心裡留保(しんりりゅうほ)

これは簡単に言うと、冗談・自作自演です。
例えば、売る気がないのに「売る」と言ったり、契約書に署名したりすることです。

その効果ですが、原則的に冗談では済まされません。
契約は有効に成立してしまいます。

安全な取引のために、自分の言った言葉には責任を持てということです。

しかし例外がありまして、相手方が、

表意者の真意を知っていた場合(悪意)または、
一般人の注意をもってすれば知り得たはずだと見られる場合(過失)

は、その意思表示は無効となります。

友人に100万円あげると言われ、
それが冗談だったからと言って本気で怒る人はいませんよね。

誰がどう見ても冗談だと分かる契約は無効となります!




■通謀虚偽表示(つうぼうきょぎひょうじ)

これは簡単に言うと、誰かほかの者と一緒に行った真意ではない意思表示です。
他人と通謀している点で心裡留保とは異なります。

例えば、AさんとBさんが売買契約をしました。
Aさんは真意では売るつもりはなく、Bさんも買うつもりはありません。

お互いにそのことを知っています。

この場合は心裡留保の例外として、
相手の真意を知っていたのですから、AB間の売買契約は無効となりますね。


では、何も知らないCさんが、
Bさんからその物を買ってしまったらどうなるのでしょうか?

AB間の契約は無効ですから、CさんはAさんに物を返す必要があるのでしょうか?

いえ、この場合のCさんは民法によって保護されます。
Cさんは善意であれば、Aさんに物を返還する必要はありません

Aさんは自業自得です。

ここで注意していただきたいのは、
Cさんについて
過失の有無を問わないということです。

Cさんは、AB間の契約が虚偽表示であることを知らなかったのならば保護されます。
注意すればAさんとBさんが何かを企んでいると気付くことができても保護されます。

もちろんCさんが悪意の場合は話になりません。
Cさんを保護する必要がないのは常識的に見て当然でしょう。


しかし面白いのはDさんが登場した場合です。
Dさんが更にCさんからその物を買ってしまった場合・・・

・Cが虚偽表示につき悪意でも、Dが善意ならばDは保護される
・Dが虚偽表示につき悪意でも、Cが善意ならばDは保護される

2つ目は不思議ですね。

なぜ悪意のDさんが保護されるのか?
これはDさんを保護しなければ、善意のCさんが損害を受けるためです。

CD間の契約が解除されたら、DさんはCさんに代金を返却するよう請求するでしょう。
損害があれば賠償請求もするかもしれません。

このように、善意のCさんを守るために仕方なくDさんを保護するのです。

これは覚えておいて損はないかもしれません。


[ 平成5年 問3 ]
 Aがその所有地について債権者Bの差押えを免れるため、Cと通謀して、登記名義をCに移転したところ、Cは、その土地をDに譲渡した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

1.AC間の契約は無効であるから、Aは、Dが善意であっても、Dに対し所有権を主張することができる。

2.Dが善意であっても、Bが善意であれば、Bは、Dに対し売買契約の無効を主張することができる。

3.Dが善意であっても、Dが所有権移転の登記をしていないときは、Aは、Dに対し所有権を主張することができる。

4.Dがその土地をEに譲渡した場合、Eは、Dの善意悪意にかかわらず、Eが善意であれば、Aに対し所有権を主張することができる。



1 誤:虚偽表示は無効であり、その無効を善意の第三者に対抗することはできない
2 誤:Dが善意であれば、Bの善意悪意に関係なく、BはAC間の無効をDに主張できない
3 誤:善意の第三者が登記をしているかどうかは関係ありません
4 正:Eは自分が善意であれば、Dの善意悪意にかかわらず、Aに対し所有権を主張できる




■錯誤(さくご)

これは思いちがい、言いまちがいです。
もっと簡単に言うと、勘違いです。

心理留保や虚偽表示は、表意者自らが真意と食い違った発言をするのに対し、
錯誤とは自分で食い違いに気付いていないというパターンです。

錯誤とは勘違いですから、表意者は基本的に悪くはありません。
よって、表意者保護のために錯誤による意思表示は無効となります。

しかし、取引の安全も無視できません。

では、その調整をどうするか?


錯誤による意思表示が無効となるための要件が2つあります。

法律行為の重要な部分に錯誤があること
表意者に重大な過失がないこと

つまり、軽い勘違い、または明らかに注意が足りなかった場合は契約成立です。


錯誤で注意していただきたいのは、
錯誤無効を主張できるのは表意者のみ、ということです。

これには例外があるのですが、少し難しいので無視して構わないでしょう。

表意者が無効を主張しないときは、相手方や第三者も無効を主張できない!
これは大事ですので覚えておいてください。

錯誤無効とは、勘違いによる表意者を保護するための規定だということです。

また、錯誤無効は強いんです。
その無効を、
善意の第三者にも対抗することができます